第三回複合アニオンウェブセミナー開催のお知らせ

第三回複合アニオンウェブセミナー開催のお知らせ

8月4日(火)17:00~19:00


講演1
前田和彦、大島崇義、Ya Tang(東京工業大学, A03代表)
「新しい層状酸窒化物の合成と光触媒応用」

[概要] 層状酸窒化物は高活性な可視光応答型光触媒となることが期待されるものの、単一相で目的物を得ることが困難なこと、そして水蒸気存在下での安定性の低さから、これまで積極的な研究開発が行われてこなかった。こうした状況で我々は、数年に渡って層状酸窒化物をターゲットとした新物質合成の研究に取り組んできた。その結果、合成に成功した層状酸窒化物のいくつかは水中においても十分安定で、かつ従来知られていたチャンピオン物質に匹敵する高い光触媒活性を示すことがわかった。

[関連論文]
1) T. Oshima et al., Angew. Chem., Int. Ed. 2018, 57, 8154-8158. Open access.
2) H. Wakayama, Inorg. Chem. 2019, 58, 6161-6166.
3) T. Oshima et al., Angew. Chem., Int. Ed. 2020, 59, 9736-9743.
4) Y. Tang et al., Inorg. Chem. 2020, in press. DOI: 10.1021/acs.inorgchem.0c01607.


講演2
森孝雄(物質・材料研究機構, A03分担)
「熱電材料の新規な高性能化原理・材料の開発」

[概要] 熱電材料の開発において、これまで、複合アニオンの効果が活用されたホウ炭化物、ホウ炭窒化物、カルコゲナイド複合アニオン化合物や、複合アニオン化(アニオンの特異な電荷移動など[1])による低熱伝導率、などの研究を行って紹介させて頂いてきたが、本セミナーではせっかくの機会として基礎を含めてより広く熱電材料開発の最新手法を紹介する[2-5]。すなわち、電気伝導、ゼーベック効果、熱伝導のパラドックス的な要請に対する、ナノ構造・界面効果[3]、磁性半導体[4]や磁気相互作用[5]などを活用した高性能化原理や材料を紹介する。

[関連論文]
1) W. Zhang et al., Chem. Mater. 32, 5335 (2020)
2) T. Mori, Small 13, 1702013 (2017).
3) Nano Energy 31, 152 (2017), J. Mater. Chem. A 6, 21341 (2018), Small 16, 1906921 (2020).
4) Angew. Chem. Int. Ed. 54, 12909 (2015), Chem. Mater. 29, 2988 (2017), Inorg. Chem. 57, 5258 (2018), J. Materiom. 4, 221 (2018), J. Mater. Chem. C 7, 8269 (2019), 8, 1811 (2020), ACS Appl. Energy Mater. 3, 2096 (2020), Nature 576, 85-90 (2019).
5) J. Mater. Chem. A 5, 7545 (2017), J. Mater. Chem. C 6, 6489 (2018), Science Advances 5, eaat5935 (2019), Materials Today Phys. 9, 100090 (2019).


講演3
黒澤俊介(東北大学, A03公募)
「赤色・近赤外発光シンチレータの開発と応用」

[概要] 放射線を検出する素子であるシンチレータは、これまで紫外線から緑色程度の発光波長をもつ材料の高発光量化をめざした開発が行われており、医療機器、非破壊検査などに実用化されている。それらの材料は、すべてシングル・アニオンのみである。近年、複合アニオンの効果が指摘されたものの、その応用への言及はほとんど無い状態であった。われわれは、緑以上よりも長い赤色や近赤外線といった発光が様々な応用で有用であることを見出し[1]、特にハロゲン元素の複合アニオンが有利であることに注目した。本発表では、目指す応用、材料設計、結晶合成方法などを紹介したのちに、合成した複合アニオンの発光特性について紹介する[2]。

[関連論文]
1) S. Kurosawa et al., J. Cryst. Growth, 452 (2016) pp.95 – 100
2) S. Kodama et al., Appl. Phys. Express1 3 (2020) p.47002


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