第十二回複合アニオンウェブセミナー開催のお知らせ

第十二回複合アニオンウェブセミナー開催のお知らせ

3月2日(火) 17:00~19:00

講師・講演タイトル:
青山 拓也(東北大学, A03公募)
「梯子型鉄系化合物BaFe2X3(X = S, Se)における軌道秩序と圧力誘起超伝導」
越智 正之(大阪大学, A03公募) 
「複合アニオン化合物における理論物質設計の試み」
伊田 進太郎(熊本大学, A03公募)
「酸窒化物および窒化物ナノシートの合成とその機能」

ご興味をお持ちいただけましたら、事務局代表補佐(a.nishinosono(a)cstf.kyushu-u.ac.jp (a)を@にしてください)宛にご連絡お願いいたします。

折り返し、ミーティングに関するアドレスをお知らせいたします。

講演者と概要

17:00〜17:40
青山 拓也 先生(東北大学, A03公募)
タイトル:梯子型鉄系化合物BaFe2X3(X = S, Se)における軌道秩序と圧力誘起超伝導
概要:BaFe2X3は二本足梯子上に鉄原子が並んでいることによる低次元性を反映してその基底状態がモット絶縁体となるユニークな物質群である。それに加えてX = S, Seにおいては圧力印加によるバンド幅制御によって超伝導転移を示すことから、擬1次元多軌道強相関模型においてモット絶縁体相から超伝導相まで実験的にアクセスできる系として注目を集めている。本講演では二次元鉄系超伝導体における軌道秩序から着想を得て、BaFe2X3 (X = S, Se)における軌道秩序の存在を明らかにした、角度分解磁気抵抗効果および光の第二高調波発生の実験結果に加えて、複合アニオン試料において観測された圧力誘起軌道スイッチングの結果について紹介する。

17:40〜18:20
越智 正之 先生(大阪大学, A03公募)
タイトル:複合アニオン化合物における理論物質設計の試み
概要:アニオンを自由度に含めることで、物質設計の可能性は大きく広がる。本講演では、複合アニオン化合物の電子状態の特徴を活かした理論物質設計の試みを紹介する。一つめの話題は、BiS2系層状化合物、特にLaOPbBiS3の類縁物質における熱電性能向上の試みである[1]。二つめの話題は、複合アニオン系Ruddlesden-Popper型化合物における非従来型超伝導の理論提案である[2]。いずれもアニオンの役割に注目して研究を紹介し、その可能性を議論したい。
[1] K. Kurematsu, M. Ochi, H. Usui, and K. Kuroki: J. Phys. Soc. Jpn. 89, 024702 (2020).
[2] N. Kitamine, M. Ochi, and K. Kuroki: Phys. Rev. Res. 2, 042032(R) (2020).

18:20〜19:00
伊田 進太郎 先生(熊本大学, A03公募)
タイトル:酸窒化物および窒化物ナノシートの合成とその機能
概要:層状酸窒化物の剥離や酸化物もしくは水酸化物ナノシートの窒化処理により作製される酸窒化物および窒化物ナノシートは、より広い範囲の可視光を利用できる光触媒材料や電極触媒等として注目されている。光触媒の分野では、半導体ナノシートは、光励起によって生成した電子・正孔がバルク材料よりも表面に到達しやすく、再結合を抑制できる可能性があるとして期待されている。本講演では、酸窒化物ナノシートや窒化物ナノシートの作製方法について紹介するとともに、その光触媒活性を中心にナノシートの機能性について紹介する。